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コロナ禍の影響をまともに受ける女性交通運輸労働者

05 Dec 2022

 新型コロナウィルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンや数々の規制は、世界中の労働者の生活に深刻な影響をもたらした。この影響は今も続いており、今後もしばらくは続くだろう。 

 コロナ禍はすべての人々に困難をもたらしているが、その影響は極めて不平等だ。

 ITF1124日に発表した、西・中央アフリカにおけるコロナ禍の影響に関する報告書は、女性交通運輸労働者がコロナ禍の影響を著しく受けていることを示している。

 報告書「西・中央アフリカにおけるコロナ禍の女性交通運輸労働者への影響」は、女性労働者が(男性と比較して)著しく収入を失い、無報酬の介護や家事を担わされ、職場と家庭の両方で暴力や嫌がらせの増加に直面していることを示している。 

 コロナ禍の影響は長期的なものであり、女性が交通運輸産業のディーセントワークから制度的に排除される可能性もある。  

 ナイジェリアの女性鉄道労働者は、職場を追い出された経緯を次のように語った。

 「旅客が戻ってくると、男性は乗務を、女性は自宅待機を命じられた。子どもを養わなければならないので、職場に戻してほしいと上司に頼んだが、欲しいものを手に入れたければ、今あるものを使え、自分を売れ、と言われた」 

 セネガルの商船労働者は、女性が生計を維持するために、職場で嫌がらせに耐えている実態を報告した。 

 「経済的に苦しかったり、様々な重荷を背負ったりしている女性もいる。嫌がらせにも耐えるしかない」

 ガーナの組合の青年・ジェンダー担当役員は、家庭内暴力が増加しているとの報告を受けている。

 「女性は配偶者と一緒に家に閉じこめられるため、配偶者から虐待を受けることが多い。海運産業で働く女性たちと話しをすると、彼女たちは逃げ道が欲しいと言う。家を出て、働きたがっている」

 ガーナの公共交通労働者は、不平等な育児負担が重荷だと語った。

 「学校が1年間休校になり、育児と仕事の両立が困難になった。シッターは高額なので、近所に頼るしかないが、迷惑がかかるし...

 このような重要な問題に対して、組合や女性活動家は、生計の維持、安全衛生対策、暴力やハラスメントの防止を実現するために重要な役割を果たしている。

 報告書は、組合が政府や使用者と協力しながら、コロナ禍が女性交運労働者に及ぼす影響に対応し、コロナ対策全般に反映させる方法や、仕事の世界における暴力とハラスメントに関するILO190号条約を活用しながら、交通運輸職場から暴力を追放する方法を含む四本の緊急提言を行っている。

 これらの提言は、女性労働者特有の課題や、暴力やハラスメントの問題、労働組合運動におけるジェンダー平等、危機管理政策におけるジェンダーの視点等に焦点を当てている。

 報告書の全文はこちら