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21世紀のための普遍的な労働保障

                                ルワン・スバシンゲITF法務部長 

 

 国際労働機関(ILO)の「仕事の未来世界委員会」は、労働者の基本的権利の普遍的な適用を訴えている。世界の就業人口の6割以上がインフォーマル経済に従事しており、また、非典型的な雇用形態の労働者がかつてないほどに増えている現状において、普遍的な労働保障(ULG)の提案は大いに歓迎すべきことである。   

 ITF の調査では、非正規の交通運輸労働者の大半において、職場における基本的権利、適切な労働条件、社会的保護が欠如しているがことが示された。多くの交通運輸労働者(「ギグ経済」の労働者を含む)が独立業務請負人として誤った分類をされている。この誤った分類は、労働者の収入に影響を与えるだけでなく、職場における保護や社会保障の権利を奪っている。  

 普遍的な労働保障(ULG)はこれらの問題を是正することができるかもしれない。  

 仕事の未来世界委員会は、その報告書の中で、以下を含む普遍的な労働保障(ULG) の確立を勧告している。

  • 労働者の基本的権利:結社の自由、団体交渉権の認知、強制労働・児童労働・差別の禁止
  • 基本的な労働条件:(ⅰ)「 適切な生活賃金」(ⅱ)労働時間の制限、(ⅲ) 安全で衛生的な職場

  報告書のA部分は、ILOの8つの基本条約に定められている基本的原則及び権利を再度強調している。B部分は、ILO憲章前文で規定され、世界人権宣言で保護されている他の3つの権利について、雇用形態にかかわらず全ての労働者に適用すべき労働権として格上げしている。 

 普遍的な労働保障(ULG)の概念が、採択が期待されるILO100周年宣言に反映されれば、その効力は大きいだろう。ILO宣言は、総会の決議を、重要な原則や価値に関する権威ある声明とすることを目的に採択される。

 職場の安全衛生を「労働における基本的原則及び権利 」として認識させようとする「仕事の未来世界委員会」の訴えも、このような観点から検討されるべきである。なぜならば、「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言(1998年)」の採択経緯から分かるように、宣言として採択されれば、加盟国は職業安全衛生に関する義務を自動的に負うようになると考えることは十分可能だからだ。

 「職業上の安全及び健康に関する条約(第155号)」の批准国が67カ国に過ぎず、より最近採択された「職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)」の批准国が46カ国に過ぎない現状において、この意義は大きい。さらに、職業衛生に関する義務の対象を全ての労働者(非正規労働者やプラットフォーム労働者を含む)に拡大すべきである。

 全労働者への適用に関しては、普遍的な労働保障(ULG)では、労働者保護の範疇の拡大のみならず、雇用関係の強化も意図されている。仕事の未来世界委員会は、雇用関係こそ労働者保護の要であるという認識の下に、雇用関係勧告(第198号)にも言及している。

 企業が雇用関係の構築を回避するために、作り話をしたり、言葉を捻じ曲げたり、全く新しい用語を生み出したりする今日において、これは非常に重要な介入と言えよう。実に、第198号勧告は、雇用関係の有無は人工的な概念によってではなく、労働のパフォーマンスに関する事実によって判断されるべきであると規定している。

 ILO宣言は批准の対象とはならないが、幅広い適用が想定され、加盟国による象徴的かつ政治的な決意が盛り込まれている。実際、1998年のILO宣言で特定されている基本的原則および権利は、既に国際慣習法になっているという見方が広く存在する。

  普遍的な労働保障(ULG)が盛り込まれたILO宣言は、とりわけ、インフォーマル経済からフォーマル経済への移行促進や、労働における基本的権利(非標準的な雇用形態の労働者の団体交渉権を含む)の行使に対する法的および実際的な障害の除去を加盟国に促すことになるだろう。

  普遍的な労働保障(ULG)は、関連する他の提案(新生児から高齢者までの社会保護の適用を含む)と共に、21 世紀の社会正義の実現のために必要な基盤を提供することができる。

 是非支持していただきたい。

 

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