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船員交代問題で日本の自動車船、メルボルンで拘束される

23 Oct 2020
記者発表資料

国際運輸労連(ITF)が関与したことで、日本の自動車輸入船がオーストラリア・メルボルン港の海運当局の監視の目をくぐることができなかった。今週初め、本船は長城汽車(グレートウォール)、現代自動車、起亜自動車、スバル等の自動車をオーストラリアまで輸送してきた。


 パナマ籍のこのメティス・リーダー(Metis Leader)号に乗り組む船員の多くが、海事労働条約(MLC)のもと、パナマ籍船に認められている最長乗船期間の11か月と、オーストラリア当局が認めている14か月の乗船期限を超えて就労していた。

オーストラリアでITFアシスタント・コーディネーターを務めるマット・パーセルは、許容期間を超えて船員を就労させていた自動車船を発見したと述べ、同船拘留時の状況を下記のとおり説明した:

  • 5名は乗船期間がほぼ12か月に達そうとしていた。
  • 2名は14か月乗船していた。
  • 船長を含む3名は乗船期間が15か月以上に達していた。

「これほどの長期間にわたり、船員を乗船させ続けることは、船員の権利の侵害であり、同時に人的災害や環境災害を誘発し得る」とパーセルは語る。

「全ての労働者は、本来の労働契約期間が満了した時点で労働を終了する権利を有する。船員の下船や帰宅を拒否することは、船員に労働の継続を強いることを意味し、強制労働とも見なし得る」

パーセルは、同船の日本の船舶代理店のワールドマリン社とWSSシッピング・エージェンシーが、船内の実態を調査し、船員救出のために上船しようとしたITFインスペクターを阻止しようとしたと述べる。

「会社は、意思に反して船員が就労を続けさせられている状況に終止符を打つべく、上船しようとした我々を阻止した」

船舶代理店は新型コロナウィルス感染症を口実に、パーセルの訪船を阻止したが、この日のビクトリア州の新規感染者は約500万人の住民中、わずか2名だったとパーセルは語る。

「力ない船員たちを騙し、この強制労働をもう一か月続けようとさせている実態をITFが把握することを会社が阻止しようとしていたことは明らかだった」とパーセル。

「幸い、本船に適用されるITF協約により、パーセルには上船して船員の状況を直接評価する権利がある」

ITFの要請により、オーストラリア海洋安全局が本船を拘留したため、船長やエンジニア数名を含む5名がメルボルンからフィリピンに帰国できる予定だ。疲労した船員を本国送還させ、交代の船員を乗船させるまで、本船がメルボルン港を出ることは許可されない」とパーセルは語る。

新車輸入の「ジャストインタイム」の性質により、今回の件でメルボルン港に船が係船されている間、船社は一日に10万米ドルを失うことになるだろうとパーセルは述べる。メティス・リーダー号は本来、1021日水曜の午後3時(オーストラリア東部標準時)にメルボルン港を出港する予定だった。しかし、火曜の夕刻にメルボルンで拘留された。会社の損害は多大になるだろう。

「日本の船主、日本郵船(NYK)は、次の港で必ず家族のもとに帰れると船員にまた新たな約束をしつつ、問題を指摘されることなくメルボルン港に滑り込み、ジャカルタへと運航を続けるつもりだったとITFは確信している」

船員たちは何か月も乗船を続けた後、帰国できると言われていたが、一方で、同船は船員交代が可能だった国を複数通り過ぎて運航を続けていたとパーセルは述べる。例えば、メティス・リーダー号はシンガポールを56回通過していた。

オーストラリアのITFコーディネーター、ディーン・サマーズは、船員交代危機が8か月目に突入する中、メティス・リーダー号のケースは国際海運界に向け、「警鐘」を鳴らしたと述べる。

「本日の教訓は非常に明快だ。船員が契約を満了させ、これ以上の乗船を望まない、あるいは、安全な運航ができない場合、ITFITF加盟組合、オーストラリア当局は、船主や荷主にどれだけの負担がかかろうとも、状況が是正されるまで本船を拘束する」

「船員交代は世界中の港で実現可能だ。コロナ禍が始まってからもう8か月になる。船員交代を先延ばしにする言い訳はもはや通用しない。船員の本国送還と交代は雇用主と船主の責任だ。全ての船員に対してその責任が果たされるまで我々は行動を続ける」

 「船主、マンニング会社、用船者、海運に依存する事業者に通告する。船員交代が行われない場合は、我々が船を止め、疲れ果てた船員を強制労働の束縛から解放する。今年のクリスマスに貴社のサプライチェーンから搾取がなくならなければ、我々がなくさせる」とサマーズは続けた。

備考:

 

  • 914日まで、パナマは船主がパナマ籍船の船員の乗船契約を海上労働条約(MLC)で規定される上限の11か月を超えて、3か月間の延長を申請することを許可した。

  • 914日以降は、パナマ当局は例外的な事例に限り、延長を検討、許可している。延長が許可されなければ、パナマ籍船はMLCで規定されている上限の11か月を超えて船員を乗船させることはできない。

  • 延長が認められる場合も、通常、船員の本国送還のための実証可能な計画があることが条件となる。延長期間は船員の本国送還や交代に使われるべきである。

  • オーストラリアは、101日から、オーストラリア領海に入る船舶を対象に、「コロナ禍における船員の最大乗船期間」を「連続14か月」とした。

  • メティス・リーダー号のフィリピン人乗組員は下船し、メルボルンタラマリン空港から帰国するところである。

  • 交代要員のオーストラリア人船長と機関士が船主の代理店と契約を締結済である。

  • 下船した船員と残留した船員はマスコミに話さないように指示されている。

  • 国際海運会議所(ICS)は、世界中で40万人以上の船員が下船できずに船内に留められていると推定している。

  • コロナ禍で船員交代の問題が危機的状況になって以降、オーストラリア海事安全局(ASMA)による船舶の拘束が続いている。ニューサウスウェールズ州のニューカッスルで拘束されたアルミナ運搬船ユニゾン・ジャスパー号は、14か月以上も乗船を強いられていた船員が救出された後、交代船員が空路で到着するまで、数週間の沖合係留を余儀なくされた。