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深まる船員交代の危機:各国政府は迅速な行動を

27 Jul 2020

船員交代の危機に関するITFの声明( 2020716日)

 ITFが各国政府に「もう限界だ」と伝え、契約を満了した船員が仕事を止めて下船し、家族の元に帰る権利を行使するのを支援することを加盟組合と共に宣言してから今日で一か月が経過した。

 また、ITFおよび「合同交渉グループ(JNG)」の海運使用者(IMECIMMAJKSA、エバーグリーン)が、 55日にIMOが発表した12段階の枠組みのプロトコルに則った具体的措置の「実施期限」を通告してから今日で2か月が経過した。

 これらの重要な日から今日に至るまで、いくつかの前向きな動きも見られたが、船員交代を可能とする例外措置や手続きの導入に関しては、各国政府の取り組みに殆ど進展は見られない。

 未だに何十万人もの船員が交代を果たせず、帰国できていない。国際便が少ないことも大きな要因だが、最大の原因は各国政府が新型コロナウイルス感染拡大防止のために導入した入国規制や渡航制限だ。国際海運会議所(ICS)の推定では、少なくとも40万人の船員が各国政府の入国規制や渡航制限を原因とする船員危機の影響を受けている。これらの船員には、船内に囚われた形で仕事を続けている者と、早く乗船して自身や家族のために賃金を稼ぎたいと願っている者の両方が含まれる。

 ITFIBF協約船の最新データから推定したところ、現在、約30万人の船員が船内に囚われた状態で仕事を続けており、さらに、それと同数の交代要員の船員たちが仕事を開始できずに、陸上で失業状態となっている。つまり、合わせて60万人の船員がこの船員交代危機の影響を受けているということだ。

 各国政府は目を覚まし、船員交代がきちんとできる状態を回復すべきだ。さもなければ、益々多くの船員が疲労困憊し、船内に囚われた形で業務を遂行せざるをえず、自らの命を危険にさらすだけでなく、船舶や海洋環境をも危険にさらすことになることを認識すべきだ。船員および船員組合は、深刻な海難事故が発生する可能性が日々高まる中、船員の命や船が運ぶ資産および海洋環境が損なわれるリスクを懸念している。

 海上労働条約で船員の最大労働時間が定められているのには十分な理由がある。SOLAS条約、ISMコード、STCW条約が存在する理由は十分にある。これらの条約や関連法規は皆、大規模な海難事故が発生した結果、あるいは、発生する可能性に備えて制定されている。海難を防止するために、今、緊急の行動が求められている。

 この危機が発生して以来、ITFとその社会的パートナーはあらゆる手段を尽くして警鐘を鳴らし、船員交代を可能にするために必要な現実的な制度変更の実施を求めて、圧力をかけてきた。また、我々自身も現実的な解決策を見出し、それらを各国政府に提案してきた。

 その結果、国連は、海事部門の専門機関であるIMOを通じて、我々が提唱したビザ免除を含むプロトコルの枠組みを提示することとなった。これらのプロトコルは、世界貿易やグローバルサプライチェーンに対する船員の重要な貢献を認識したものであり、各国政府に対する問題解決要請の大きな推進力となった。さらに、ILOが介入し、ILO第108号条約、第185号条約、海上労働条約における義務を加盟国に思い起こさせたことで、国際社会の認識は一層高まった。

 ITFとその社会的パートナーは、各国政府が寄港国、旗国、船員の母国として、船員交代の円滑化のために必要な措置を導入する30日間の「履行期間」を設定した。そして、この「履行期間」が6月に終了したことを受け、ITFは「もう限界だ」を発表した。

 ITFとその加盟組合は、契約が満了した船員が仕事を止めて下船し、家族の元に帰る権利を行使する用意があることを明確に示した。先月、ITFは船員がこの基本的な権利をどのように行使できるかについて何千人もの船員に助言と支援を行った。

 我々は、船員が交代することなく永遠に働き続けるわけではないということを明確にし、各国政府に対する国際社会の圧力を大幅に強めることができたと確信している。実際にいくつかの分野で進展が見られた。

 カナダ政府や香港政府が自国民への感染リスクを最小限に抑えながら、船員交代のための下船を可能にしたことを称賛する。英国政府も、自国沿岸に留まっている船員は比較的少ないものの、その役割を果たしている。主要船員供給国のフィリピン政府が7月に発表した「グリーンレーン」(優先通行)が船員の帰還・交代に有効であることを期待したい。

 一方、船員の上陸を禁止したり、一日の入国者数を制限したりするなど、取り組みを後退させている政府もある。このような施策は安全で持続可能な国際海運の回復や円滑な船員交代につながらないばかりか、船員が切望している人道的救済を実現するものでもない。

 7月に英国政府の主催で開催された船員交代に関する国際海事バーチャル・サミットで協力を約束した13カ国の政府のコミットメントを歓迎する。これらの政府は、船員のビザ、入国規制、検疫の適用除外を導入することを約束した。約束が実行に移されるよう、また、船員の乗下船のために、より多くのフライトの運航支援が行われるよう、ITFとITF加盟組合は引き続き注視していく。さらに、オーストラリア、中国、インド、ロシア、ウクライナ等、海上貿易への依存度の高い国々は特に、自らの役割を果たし、進歩的な政府の仲間入りをするよう呼び掛けていく。

 ITFの今後の取り組み

  • 「もう限界だ」運動を継続し、契約を満了した船員が下船する権利を行使することを引き続き支援する。
  • ITF加盟船員組合と共に、船員交代の円滑化に必要な対策(ビザ、検疫、フライト等)を各国政府に要請する。
  • 雇用契約が終了した際に、仕事をストップし、本国送還を求める権利を行使しようとする船員を脅迫したり、ブラックリストに載せたりするいかなる試みも止めるよう呼び掛ける。
  • 日々疲れが増し、疲労し切った船員が運航する船舶で当然の結果として発生し得る事象について、船員を犯人扱いしたり、非難したりするいかなる試みも非難する。
  • 各国政府にこの危機を真剣に受け止めさせる他の方法を模索する。

 これまでも主張してきたが、言葉だけでは十分ではない。言葉だけでは下船は実現しない。言葉だけでは、自宅待機している失業中の船員が再び働き始めることはない。言葉だけで海難を回避することはできない。

 我々は行動を求める

 緊急の支援やサポートが必要な船員からの問い合わせはITF Seafarers Support