Skip to main content

各国政府がコロナ禍において船員への義務を怠った理由を国連タスクフォースで明らかにすべし

19 May 2021
ILO offices in Geneva

2021年5月6日配信

 船主および船員の代表者が、2006年の海上労働条約(MLC)のコロナ禍における実施・適用について調査する各機関協力組織のタスクフォースの設置を国連に要請した。

 移動制限や各国政府の対応・調整不足により、船員交代問題が深刻化し、ピーク時には、40万人を超える船員が契約満了後も下船できずに船内に留められた。

 未だに約20万人の船員が乗下船できず、その数は増加している。現在インドを襲っている第二波や変異種による感染急拡大で、各国政府が対策を強化しているためだ。一部の国の政府は、船員をキーワーカー(市民生活に必要不可欠な労働者)に指定し、船員の渡航を促進する対策を講じているものの、多くの国の政府は問題を放置し、船員は強制労働に等しい状況を強いられ、自宅に帰ることができないままとなっている。緊急の対応が求められる。

 国連への調査要請は、2021年4月19日~23日にバーチャルで開催された第4回ILO海上労働条約特別三者委員会(STC)の決議を通じて行われた。

 ILOで船員のスポークスマンを務めるITF船員部会副議長のマーク・ディキンソンは次のように語った。「MLCは船員の保護とディーセントワークの促進を目的に採択された条約だ」

 「コロナ禍は海運業界のガバナンスと体制を明るみにした。国連海洋法の要件にもかかわらず、業界は細分化されており、これが大きな混乱を引き起こした」

 「主要旗国は張り子の虎だ。乗組員の福祉については、認識も対応能力も関心もない」

 「MLCに批准した97か国は、契約満了後の船員を帰国させる義務がある。これはMLCに明示されている。免責条項や特別な条件はない。船員の本国送還を怠ったり、船員が陸上で医療手当を受けることを認めなかったり、船員の権利保障のための国際協力を拒否したりすれば、MLC違反となり、国際的な義務を怠っていることを意味する」

 

安易な入国制限

 STCでは、船員がコロナ禍においても食料、燃料、医薬品、医療機器を必要な場所に届けるために、サプライチェーンを維持し続けていることが認識された。一方、各国政府の行動の調整は13か月を要した。未だに多くの政府が安易に入国制限を実施し、船員の乗下船が妨げられている。

 ITFのファブリツィオ・バルセロナ船員部会コーディネーターは次のように語った。「世界中で船員がキーワーカーに認められ、自由に移動できるようになれば、この深刻な人権問題の解決に寄与するだろう。船員と港湾労働者の検査やワクチン優先接種等、船員や港湾コミュニティを感染から守るために当局が実施すべき対策はたくさんある」

 STCは、国家間の協力強化や船員の入国制限や各種文書の一時免除を勧告した。これらは、各国政府の感染防止策に大きな影響を与えることなく、船員交代問題の解消に役立つだろう。

 「コロナ禍で多くの船員が仕事を失った。また、船員交代問題に対する政府の対応不足により、さらに多くの船員が船員という職業を再考し始めている。業界にも影響が及び、一部の企業は船員不足により操業を継続できなくなっている。世界経済にも影響が及んでいる。各国政府は状況がさらに悪化するのを防ぐために緊急に行動する必要がある」とディキンソンは語った。

 

ワクチンの優先接種

 STCでは、交通運輸労働者のワクチン優先接種を求める別の決議も採択された。

 この決議は、各国政府が船員のワクチン接種をどのように進めるべきか、他国のワクチン接種をどのように認めたらよいかを提案している。また、主要港に乗組員のワクチン接種のハブを設置することも提案している。