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船員の本国送還を果たすも、困難が尽きないクルーズ船業界

ニュース 記者発表資料 11 Aug 2020

世界のクルーズ船業界と船員組合が約25万人の船員の本国送還を間もなく完了しようとしている中、国際運輸労連(ITF)は、クルーズ船業界とそこで働く労働者にとって困難な時代が待っているだろうと警告している。

ITFとその加盟組合は、世界のクルーズ船で働く労働者の大多数を組織している。コロナ禍で各国政府が国境を閉ざす中、ケータリングやホスピタリティ業務、エンターテイメント関係のスタッフから甲板部や機関部の乗組員に至るまで、世界各地でクルーズ船内に足止めされてきた様々な職種の船員数万人の本国送還を支援してきた。

ITF船員部会のデイブ・ハインデル議長は、コロナ禍で人類の最善の面と最悪の面が露呈したと語る。

「貨物船やクルーズ船に乗り組む船員を本国に何とか帰国させるべく手を尽くすべき寄港国や船舶の通過国、時に船員の出身国すらが、情けないことに船員に背を向ける一方、優れた労働組合と使用者の多くが、この実に困難な状況の中、船員のために最善を尽くす様子も目の当たりにしてきた」とハインデル議長は述べる。

「我々は船員を心から尊敬し、賞賛している。彼らはいつも通り仕事に行き、自らが呼ぶところの『海上の刑務所』で囚われの身となり、陸上を散歩することすらできなくなってしまった。この信じがたい困難な時期に、忍耐力と不屈の精神を見せてくれている船員に感謝する。中には状況に圧倒されてしまったり、絶望から悲劇的にも自ら命を絶ってしまった船員もいて、我々は非常に心を痛めている。コロナ禍は誰もが経験したことのない未曽有の状況ではあるが、我々はとりわけ船員とその家族のことを案じている。コロナ禍で船員が苦境を耐え忍んでいる事実に、社会がもっと連帯を表明し、船員を尊敬すべきだ」

「誇張ではなく、世界中に点在するクルーズ船に乗り組む約25万人の船員を帰国させるために必要な業務量は膨大だった。ITFファミリーに属する世界の船員組合は、今年3月以降、船員を帰国させるため、ビザや航空便、船員のための移動制限の免除などの手配のため、24時間体制で働いてきた」

「これはクルーズ船業界の素晴らしい功績と言えるが、貨物船に乗り組む約30万人の船員が依然として雇用契約を終了した今も、船内に足止めされている事実を忘れてはならない。中には契約終了から8〜9か月を過ぎ、トータルで1年4か月以上も船内に囚われている船員もいる。そしてその数は日に日に増えている。問題解決にはどうすればいいのか?その答えはシンプルだ。各国の政府が移動や出入国の制限から船員を事実上免除し、船員交代が通常通り行えるようにすればいいのだ。クルーズ船業界で成功したように、既に雇用契約期限を過ぎている数十万人の貨物船の船員をいち早く下船させることが極めて重要だ」とハインデル議長は述べる。

ITFクルーズ船タスクフォースのヨハン・オイエン議長は、様々な取り組みを組み合わせたことが今回の人道上の大成功をもたらしたと語る。

 「約25万人の船員の本国送還を達成するために奔走してくれたクルーズ船企業や企業に協力してくれた国の政府を讃えたい。この作業には膨大なロジ面の調整活動が必要だった」とオイエン議長は述べる。

「旗国や寄港国を含む各国政府が国際法に謡われている法的、人道的義務を果たさなかったにも関わらず、このほど船員の本国送還が成功した。帰国するために船員が上陸することを拒否することは道義的に誤っているだけでなく、違法でもある。今後、国家がこのような責任逃れをする場合に、どのような強制実施のメカニズムが必要かを検討していくことになろう」とオイエン議長。

「困難な状況に関わらず、クルーズ船業界の大半がこの成果を達成すべく努力してきた。ITFと加盟組合は、業界の復旧計画やビジネスの再開が検討される際には、船員の労働条件改善のためのオープンな議論も併せて業界と協力しながら行っていくことを期待している」

最近、またクルーズ船でいくつかの新型コロナウィルス感染事例が報告されている事実を受け、ITFは懸念しているとオイエン議長は述べる。少なくともこれらの事例のうち1件については、出航前に行うべき重要な手順を省略したことが原因だったことが判明している。

「当然のことだが、適切な安全衛生対策が設置され、それが実施されており、また、必要な医療を受けたり、船員交代のため、あるいは休暇を過ごすために船員が上陸することを寄港国が約束している場合にのみ、クルーズ船の出航は許可されるべきだ。クルーズ船業界は、新型コロナウィルス感染拡大の初期段階の過ちから学び、船員のための安全な職場環境を確保すべきなのだ」

「何か月も船内に囚われ、帰国できる日を今か今かと待っている船員の窮状に世界中の人々が思いを馳せ、船員が当然受けるべき敬意を船員に向けてくれることを期待している。このコロナ禍にあって、船員は正に我々の英雄なのだから」とオイエン議長は締めくくった。

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