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家族を食べさせるために、クウェートでハンスト中の船員のストーリー(全文)  

05 Feb 2021

 ばら積み貨物船ウラ号の乗組員が、賃金未払いで11か月間も家族に仕送りができない状態に抗議し、クウェートのシュワイバ港でハンストを行っている。

 インド人、トルコ人、アゼルバイジャン人、バングラデシュ人の彼らは、即時下船と未払い賃金($410,415.65)の支払いを要求し、1月7日から摂食を拒否している。家族が飢えている時に自分たちだけ食事を取ることはできないと訴える。ハンストは2月に入っても続いている。

  「水しか飲んでいない」とある乗組員は語った。

  彼らのうち6人が血圧と血糖値を安定させるために入院し、その後再び船に戻った。このまま食事を拒否し続ければ、命が危ない。

 「我々の家族は食料、生活用品、医薬品すら買うことができない」とある乗組員は語った。

 

 ITFアラブ・イラン・ネットワーク・コーディネーターのモハメド・アラチェディは、「彼らの乗船期間は1年2か月になる。1年半を超えている者もいる。そのうち一人は2年2か月になる。彼らは家族の元に帰れるよう、現地の交替船員の手配をクウェート当局に求めているだけだ。賃金は11か月間も未払いのままだ」 と語った。

 ITFが法的支援を申し出たことも説明した。

 ITFは今から1年以上前の2019年9月に、乗組員に対する義務と責任の当事者(カタールの船主や保険会社等)に連絡を取った。それ以来、乗組員に食料や飲料水を届けたり、未払い賃金を回収したりするための努力を続けてきた。

 ILOIMO等の国際機関にも報告した。

 ITFが乗組員から初めて連絡を受けた時、ウラ号はイラン海域に停泊しており、電気や燃料はなくなり、食料や飲料水も底をつきかけていた。

 「当時、25人の乗組員は医薬品・飲料水・食料の不足により、体調を崩していた。1日に1食で凌いだ」とある乗組員は語った。

 乗組員らは窮状を知らせるためにバナーを作った。バナーには「助けて下さい!魂の救世主-船員の苦情を訴えてくれるITF」という文字が書かれていた。

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本船がクウェートで拘束される。所有会社の会長には逮捕状

 ITFが賃金の支払いを要求し続けると、船主は一部の乗組員の賃金の支払いに応じた。20204月、ITFは本船をシュワイバ港(クウェート)に入港させるべきだと主張したが、乗組員の上陸は依然として許可されなかった。

 支払い停止が3度目に達した時、船内の緊張は高まり、乗組員4人が室内に閉じこもった。船長はこれを乗組員の反乱としてパラオとクウェートの当局に報告した。

 「4か月と16日もの間、太陽も月も目にすることはなかった。外の風にあたることもなかった」とある乗組員は語った。「まるで刑務所のようだった」

 ILOIMOITF、カタール船主、インド大使館、旗国パラオの代表者から成る特別委員会が設置されたが、解決策が見い出されることはなかった。 

 5月、クウェート港湾局が動き出し、本船と貨物(建材のクリンカー)を拘束した。当局は、船主のアスワン・トレーディング・アンド・コントラクティン2017年2月13日からブラックリストに載っており、同社の会長に対してカタール司法当局から逮捕状が出ていることを明らかにした。

 遺棄のケースでは通常、乗組員の生命を保護し、未払い賃金を支払わせるために、旗国が介入する。 

 「パラオは何ら責任を果たしていない」とアラチェディは訴える。「ITFは物資の供給や賃金の支払いを何度も要請してきたが、何の措置も講じられていない」

 2020年9月、パラオは、ITFIMO、クウェート当局と協議の末、ウラ号の登録を抹消した。クウェートに任せた方がよいとの判断がなされたためだった。このことは、旗国が問題解決に向けて行動を起こす意思や能力が欠如していることをよく示している。

 「本船の籍がなくなった今、解決はクウェート当局に委ねられた。クウェートには船員の命を救うための法的・道徳的責任がある。ITFはあらゆる方法で支援するために常時スタンバイしている」とアラチェディは語った。

コロナ禍の打撃を受けている家族のために賃金の支払いを

 9月、室内に閉じこもっていた3人を含む6人の乗組員が下船した。しかし、賃金は未払いのままだった。コロナ禍で仕事を失った乗組員の家族にとって、賃金未払いは深刻な問題だった。

 「父がコロナ禍で職を失ってから、私が父、母、姉、弟の面倒を見ている。仕事があるのは私だけなのに、  もう11か月間も賃金が払われていない。ローンも返せない」と乗組員の一人はITFに語った。

 船員遺棄の場合は通常、未払賃金の一部は保険で支払われる。そうでなければ、船主が支払う。  しかし、保険会社がP&Iクラブの会員ではなく、クウェートの海事当局が船員交代を調整したため、船主は賃金の支払いを拒否した。乗組員はクウェート当局の行動を求めている。

 「クウェート港湾局からは『間もなく賃金が払われ、帰国できる』と  5か月間言われ続けてきた。約1年間、1ドルも支払われていない。あと何か月かかるか分からない。書面で約束してほしい」とある乗組員は語った。

 当局は取るべき行動を取っていない。  

 「旗国は何もしていない。クウェート港湾局は必要物資を提供してくれた。しかし、母国の家族は何も受け取っていない。家族も食べさせなければならない」と乗組員は続けた。

 ITFは引き続き乗組員に法的支援を申し出るとともに、クウェート当局に問題の早急な解決を要請している。ITFのモハメド・アラチェディは乗組員の健康を懸念し、次のように語った。

 「1月7日からハンストを継続しているという事態は非常に深刻だ。直ちに行動を起こす必要がある。彼らの命が危ない」アラチェディは語る。「クウェート当局には、未払賃金の支払いと下船を実現するために例外的な措置を講じる手段は十分にあるはずだ。ITFはあらゆる方法で支援を差し伸べるために常にスタンバイしている」

 乗組員のハンストは続いている。