Skip to main content

政府から貧乏くじを引かされる船員

ニュース 記者発表資料 29 Aug 2019

最近、米国務省が海運産業に対し、「イランの石油を輸送する船舶に乗り組む船員に米国のビザ発給を拒否する反テロリズム法を発動する」との声明を発表した。このことからも、各国政府が、船員が業務上直面している現実をいかに理解していないかが示された。米国がこの声明を発する前には、タンカーの「グレース1号(現在はエイドリアン・ダラヤ号に改称)」が、EUの制裁に違反していないと確証が取れ、やっとジブラルタル当局から解放されたばかりだった。

 ITFのデイブ・ハインデル船員部会議長は、米国務省の声明に不満を表明し、次のように述べた。「国際産別として、地政学的問題や国家間の制裁措置などはITFの権限外であることは承知しているが、船舶の目的地や貨物の中身について影響力をもつこともまた、船員の責任の範囲を超えている」

 「部員であれ、職員であれ、船員が船がどこ行きかを知っていることは稀だ。通常、船舶は船舶管理会社から特定のコースを航行するように指示され、その後の針路も後に告げられる。船がイランの港に向かっている場合、通常、到着の1日か2日前に目的地を知っているのは唯一船長だけだ。乗組員の中でも特に部員や低職位の職員は目的地を知らないことが多く、ましてや航海中に航行することを拒否したり、下船できたりする可能性は皆無だ」

「さらに、船員は通常、自分が働いている船舶を実際に所有しているのが誰なのかを知らない。だからこそ、ITFは1948年以来、便宜置籍(FOC)制度に関する運動を展開してきたのだ。今では海運産業の大半をFOC制度が占め、責任を負うべき船舶所有者が秘密のベールの後ろに隠れることが可能になっている」

「制裁措置違反とみなされる船舶に乗り組んでいるというだけで、船員へのビザ発給を拒否することは不当であり、責任を取るべき人間を野放しにすることになる。米国を含む各国の政府は、むしろFOC制度の是非に焦点を当て、この制度を可能にし、秘密主義の船舶所有者が無罪放免で儲けることができてしまう法律を変えるべきだ」とハインデル議長は締めくくった。

Post new comment

Restricted HTML

  • Allowed HTML tags: <a href hreflang> <em> <strong> <cite> <blockquote cite> <code> <ul type> <ol start type> <li> <dl> <dt> <dd> <h2 id> <h3 id> <h4 id> <h5 id> <h6 id>
  • Lines and paragraphs break automatically.
  • Web page addresses and email addresses turn into links automatically.

現場の声

ニュース 記者発表資料 15 Feb 2024

ILAの職域闘争勝利を祝う

 北米東岸港湾の労働組合である国際港湾労働者協会( ILA )が、ニューロンドン(米コネティカット州)のオーステッド社洋上風力発電事業をめぐる職域闘争で勝利したことを歓迎する。  ITF のパディ・クラムリン会長は次のように語った。 「これは ILA 、 ILA 第 1411 支部、そして ILA 組合員全員にとっての記念すべき勝利だ」「揺るぎない連帯と戦略的行動に支えられた 8 カ月間の闘争は
ニュース 14 Feb 2024

インドネシアで違法解雇された空港労働者が勝利

Gebuk 労組は、航空ケータリング会社アエロフード・ケータリング・サービス・インドネシアにコロナ禍で違法解雇された労働者に補償金を支払うことを約束させ、組合員のために大きな勝利を確保した。 ITF 加盟のインドネシア空港労連( FSPBI )に加盟 する Gebuk 労組は、ジャカルタ空港で働く航空ケータリング業務委託企業の労働者組合だ。 同労組は 2 月 6 日に大規模デモを行ない
ニュース 13 Feb 2024

ITF会長の2024年に向けたメッセージ

ITF に加盟する交通運輸労組の皆様 2024 年:ますます機能不全に陥りつつある世界で、私たちが直面する課題は解決しないまま、また新たな年が明けました。私たちは、使用者に職場で説明責任を果たさせること、安全を構築すること、環境の持続可能性を構築すること、付加価値を高め、価値を奪うことのないサプライチェーンを構築すること、労働者から賃金を奪ったり