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ITF港湾部会 職場における新型コロナウイルス対策ガイドライン

ニュース 08 May 2020

 このガイドラインは港湾労働者を含む港内の全ての労働者を保護するために使用者が実施すべき最低限の措置を示したものである。

 組合の代表者を含む新型コロナウイルス対策委員会を設置し、労働者のための感染予防措置の導入・実施を継続的に評価するとともに、本ガイドラインの全項目について監視すべきである。いかなる変更も適切な団体協約あるいは労使協議を通じて実施されなければならない。

 企業の責任を「個人の責任」に置き換えることはできない。雇用主は、従業員は安全で衛生的な職場で働く権利があり、安全でない仕事を拒否する権利は最も重要なものであるとの認識を持たなければならない。

 

 世界保健機関(WHO)によると、新型コロナウイルスの最も一般的な症状は、咳、高熱、息切れ、嗅覚・味覚の喪失である。

 労働者は、これらのいずれかの症状が出た場合は、直ちにターミナルの担当者に報告しなければならず、また、医療援助(迅速な検査や適切な医療措置を含む)を全面的に受けることができなければならない。

 新型コロナウイルスに感染した労働者は自主隔離の指針に従わなければならない。また、賃金全額が支払われなければならない。ターミナルオペレーターは感染経路を追跡し、陽性が判明した労働者と職場で濃厚接触した労働者に通知しなければならない。

 

機器の衛生管理と洗浄

  • シフトの開始時およびオペレーターの交代時に車内の接触部分を消毒するよう清掃員に指示がなされなければならない。
  • 全ての機器およびターミナルの全エリアの洗浄頻度を増やさなければならない。
  • さらに洗浄が必要な場合は、定期的な機器の洗浄を確実に行える洗浄ステーションを設置しなければならない。
  • ターミナル内に入場したり、書類を渡したりするトラック運転手等の労働者のための手洗所をゲート外に設けなければならない。
  • 共用の道具は使用前後にしっかりと拭くように労働者に指示しなければならない。
  • ターミナルオペレーターは、石鹸、水、抗菌ウェットティッシュ、消毒ステーションなどの適切な衛生設備を用意しなければならない。
  • ターミナルバス・車両は、シフトの開始時と終了時に消毒しなければならない。
  • 事務所、休憩室、ワークステーション(作業場)は全て、シフトの開始時と終了時にしっかりと洗浄・消毒しなければならない。全ての機器は、オペレーターの交替前にしっかりと洗浄・消毒しなければならない。
  • 機器の「ホットスワップ」は、代替機器がない場合を除き、中止する。「ホットスワップ」を行う場合は、オペレーターの交替前にしっかりと洗浄・換気する。
  • 労働者は各自、高度な衛生対策を実践しなければならない。

 

個人用保護具

  • ターミナルオペレーターは必要な全ての個人用保護具(マスク、その他の呼吸用保護具、手袋、殺菌剤、手指消毒剤等)を業務上必要とされる全ての労働者に供給しなければならない。供給される個人用保護具は、男女両方の身体に適切に装着できなければならない。
  • フェイスシールド等の追加的な個人用保護具は、他の労働者と2メートル以内の距離で作業をする労働者(ラッシャー等)に供給される。

ソーシャルディスタンス(他者との距離)

  • ソーシャルディスタンス(他者との距離を2メートル以上に保つこと)を常に実践しなければならない。
  • 安全なソーシャルディスタンスの実践のために、設備や装備の調整・修正が行われなければならない。昼食、会議、休憩用のスペースは十分な空間を確保すべきである。
  • ターミナル出入口から出入りする者は皆、ソーシャルディスタンスを実践しなければならない。
  • 作業車に乗車する必要がある労働者は、車内でも常時ソーシャルディスタンスを実践しなければならない。

業者や外部の人間のアクセス

  • 不可欠な業務を行う業者のみがターミナルの入場を許可されるべきである。もし入場する場合は、適切な個人用保護具を装着し、全ての衛生手順に従わなければならない。
  • 運転手との接触を最低限にとどめる対策が講じられなければならない。業者やトラック運転手がターミナルの従業員と接触したり、書類の受け渡しを行ったりする場合は、手洗いや個人用保護具の装着が義務付けられなければならない。トラック運転手はターミナル内では車内にとどまり、他者との距離を2メートル以上保たなければならない。

休暇および一時的な在宅勤務

  • 特定の状況においては、在宅勤務が適切であることが労使合意を通じて判断される。
  • 可能な限り、家族を世話する責任を抱える労働者には、より柔軟な制度を適用すべきである。
  • 自身や家族へのリスクが高い(持病や妊娠を含む)ために自主隔離すべき労働者に適切な賃金や雇用の保障を行う。
  • コロナ禍を基準切り下げや人員削減(パートタイムや有期雇用を含む)の口実にしてはならない。

船舶のアクセス

  • 船舶の入港前に船員は陸上の港湾労働者が直接接触する部分を全て消毒することとする。
  • 作業が開始される前に、船舶が汚染されていないことが宣言され、組合の安全衛生担当役員がこれに合意しなければならない。船長は入港前の手続きの段階で乗組員の体調不良を報告しなければならず、その報告は組合の安全衛生担当役員に伝達されなければならない。
  • 船舶運航会社は本船の入港履歴の詳細をターミナル・オペレーターと関連組合に通知しなければならない。
  • 船員は港湾労働者と安全な距離を保たなければならない。船員が上陸する必要がある場合は、通行経路を船員と陸上労働者との間で明確にする。陸上勤務の労働者が船内で作業している場合、船員は不可欠業務を行う必要がある場合を除き、船内にとどまるべきだ。
  • 可能な限り、電子的なコミュニケーションを行うべきだ。
  • ITF船員部会と国際海運会議所(ICS)が合意した手順に基づき、船員の居室に通じる岸壁側のドアを除き、外部に通じるドアは全て閉鎖することを指示すべきだ。
  • 港湾労働者が船内にいない場合は、許可されていない人物が船内に入り込むのを防ぐために、ギャングウェイを取り外すべきだ。特定の重要人物だけの乗船を許可すべきことをギャングウェイの当直に指示すべきだ。

コミュニケーション

  • 全てのリスク(職場での暴力・嫌がらせの増加のリスクを含む)に対する評価を組合の代表者と共に行わなければならない。
  • ターミナルオペレーターは、新型コロナウイルスに関する全ての情報や政府の指針を全利害関係者(組合を含む)に提供しなければならない。
  • 引き続き労使で新型コロナウイルスのガイドラインの見直しを行うこととする。

研修・訓練

  • ターミナルオペレーターは、安全衛生関連の情報提供や新型コロナウイルスに関する指示や研修・訓練を行わなければならない。

 

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