本日、人権デューデリジェンスの新しいツールキットが完成した。世界に名だたるグローバルブランド企業は、もはや自社のサプライチェーンを監督せず、サプライヤーに船員交代に関する指示を出さないわけにはいかない。
ツールキットは、荷主や用船者がサプライヤーやビジネスパートナーに船員の人権や労働権(船員交代の権利、移動の自由、強制労働から逃れる自由を含む)の保護について質問するのを手助けするものだ。
国連グローバルコンパクトを中心とする国連機関、グローバルブランド企業数社、ITFを含む海運労使が作成した。
「あまりにも長い間、海運はグローバルブランド企業にとって、人権問題の盲点だった。今日の責任ある企業は、自社のサプライチェーンで人権侵害が行われているかもしれないことを理解しようとしている。船員交代危機の最中にこのツールが発表されたのは時宜にかなっている」とITFのスティーブ・コットン書記長は述べた。
コットン書記長は、サプライチェーン内の人権保護は企業の社会的責任であり、法的義務になりつつあると指摘し、次のように述べた。
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「コロナ禍に伴う入国制限により、世界の船員が海上で足止めされ、自らの意思に反して働かされ続けている。サプライチェーンの中には、行動を起こした責任あるプレーヤーもいるが、多くの企業がこの人道危機に気付いていないか、気付いていながら無視することを選択している」
国連機関は「荷主」である企業に対して、ITFや国際海運会議所(ICS)の海運専門家と協力しながら、「サプライチェーンのヘルスチェック(健康診断)」を受けることを奨励している。このヘルスチェックは、企業が人権デューデリジェンス(HRDD)の義務を理解し、サプライチェーン内の人権違反に対処するのを支援するものである。
グローバルブランド企業は「船員交代禁止」条項を禁止できる
ITFのデービッド・ハインデル船員部会議長は、ITFは「船員交代禁止」条項や船員交代を回避するためにより洗練された手段を使う用船者や再用船者に関する通報を受けていることや、荷主が輸送サプライヤーへの期待を表明する必要があることを説明し、次のように語った。
「残念ながら、海運に関しては、依然として金が人権上のニーズの妨げとなっている。今、多くの船主が過去最高の収益を上げている。未だに20万人もの船員が受刑者のごとく強制的に働かされ、帰宅できずにいるにもかかわらず、荷主はビジネス上の変化にほとんど気付いていない」
「できるだけ多くの企業がデューデリジェンスのツールの活用にコミットし、具体的行動を起こすことで、サプライチェーンや海運業界における人権侵害の撲滅の一翼を担ってほしい」
ハインデル議長は、ブランド企業には「船員交代禁止」条項を禁止する力があると述べ、人権デューデリジェンスの取り組みを開始するにあたり、まずはITF(seafarershrdd@itf.org.uk)にメールで問い合わせることを促した。
「このツールが完成し、企業は行動を起こさない言い訳はできなくなった。ツールには、自社製品を海上輸送する企業に質問すべき項目が掲載されている。サプライヤーに航路離脱を許可し、「船員交代禁止」条項をサプライチェーンから一掃するために、サプライヤーに与えるべき支持を明確にしている」