(9月13日配信)
カンタス航空が1,700人の地上スタッフおよび手荷物スタッフを解雇したことの違法性が認められ、オーストラリアの交通運輸労組は大きな勝利を収めた。解雇以降、正義を求めて闘い続けてきた労働者にとっても大きな勝利となった。
連邦最高裁判事7名は全員一致でオーストラリア史上最大の違法解雇を認定した。
交通運輸労組(TWU)は、既に連邦裁判所で2回、コロナ下でカンタス航空が行ったアウトソーシングは公正労働法に違反するとの判決を勝ち取っていた。
国際運輸労連(ITF)のスティーブン・コットン書記長は労働者の勝利を歓迎し、次のように語った。「カンタスの組合潰しを有罪とした判決を心から歓迎する。“組合は労働者のために闘い、労働者のために勝利する”という教訓を、欲望のために労働者を搾取する他の企業にも学んでもらおう」
「TWUとカンタスの勇気ある労働者を称えたい。彼らの闘いは世界中の航空労働者を鼓舞するだろう。コスト削減と労働基準の破壊を目的とするアウトソーシングに勝ち目はない。それは違法であり、持続不可能だ。航空を経済的、社会的、環境的に持続可能な産業とするためには改革が必要だ。航空労働者の権利が尊重され、彼らの貢献が認められて初めて改革は実現する」
ここ1年半、カンタス航空は手荷物ハンドリングで大きな問題を抱えてきた。オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)の報告によると、解雇以来、カンタス航空とそのサービスに対する苦情は急増し、2022年には68%も増えた。
TWUのマイケル・ケイン委員長は次のように語った。「カンタス航空がオーストラリア企業史上最大の違法解雇を行ったことが最高裁で認められた」
「カンタスの取締役会とアラン・ジョイスは、解雇された労働者とその家族に壊滅的な影響を及ぼした責任を取らなければならない。取締役会は最後の行いとして、アラン・ジョイスのボーナスを剥奪し、彼を放逐すべきだ」
「航空産業の決定はオーストラリアのコミュニティーと労働者の利益のために下される必要がある。安全・安心航空委員会(Safe and Secure Skies Commission)を設置し、公正労働法の抜け穴を塞ぐことで、カンタスのアウトソーシングのような決定が二度と行われないようにしなければならない。オーストラリアの航空産業はオーストラリア国民の利益にかなうものであるべきだ」
本件は今後、連邦裁判所に戻され、解雇された労働者への補償金の額やカンタス航空に対する措置が決められる。
ITF民間航空部会議長を務めるアルゼンチン航空労組のエドガルド・ラーノ書記長は次のように語った。「航空産業の回復と持続可能性は、航空産業を動かしている労働者にどれだけ敬意が払われるかにかかっている。本件は業界に対する警鐘だ」
「カンタスのような企業が悪用しようとする法の抜け穴を塞ぐために、業界の早急な改革が求められる。アウトソーシングを規制し、雇用基準の不当な切り下げを禁止し、同一労働同一賃金を実現する法制度の整備をオーストラリア政府に期待する。それを各国政府と航空会社の模範としよう」
カンタス航空はコロナ後の旺盛な旅行需要と航空運賃の上昇により、通期で過去最高となる24億7000万ドルの営業利益を計上した。このレベルの利益は取締役会に巨額の配当金をもたらす一方、職を失った労働者たちは壊滅的な影響を被った。
違法に解雇された労働者に対する補償請求の審理が連邦裁判所で再開される。マイケル・ケイン委員長はキャンベラで記者団に対して、TWUは今後、連邦裁判所で「多額の」補償と罰則を求めていくと語った。
詳しい情報はITF書記局(media@itf.org.uk)まで。