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世界の海事組合代表団が豪上院公聴会に出席し、内航海運の強化を要請

ニュース 記者発表資料 10 Feb 2020

 世界の海事組合代表団が、豪州モリソン政権に対し、自然災害への緊急対応能力を高めるとともに、経済、環境、エネルギー、安全保障上の国益を守るために、海運産業の衰退を阻止し、戦略的なフリートの構築に投資するよう要請した。

 米国、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、英国の組合代表団は、豪州連邦議会上院地方・地域問題・運輸参照委員会(RRATRC)の政策・規制・課税・行政・資金の優先課題に関する公聴会に出席した。

 会議冒頭、大規模な山火事で人々の生命や家屋が奪われ、自然環境に壊滅的な影響が及んだことをめぐり、オーストラリア国民に連帯と支援が表明されるとともに、海運による緊急対応の重要性が認識された。

 代表団に参加した組合幹部および研究者は、世界各国のカボタージュの現状や、雇用確保、環境保護、自然災害時の緊急援助等、経済安全保障や国家保安の観点から、内航海運を強化する必要性について説明した。

 国連に加盟する沿岸国の8割を占める91か国が、内航海運を自国船に限るカボタージュ規制を導入している。

 ITFカボタージュ対策委員会議長を務めるカナダ国際船員組合(SIU)のジム・ギブン委員長は、公聴会で次のように述べた。「今日、我々がここに出席している理由は、内航海運の維持・活性化の重要性について議論するためだ」

 「カナダの沿岸貿易法と米国のジョーンズ法が両国の海運産業の成功にとって不可欠な存在であり、両国経済に大きく貢献していることを度々認識する。これらの政策は、欧州、アフリカ、アジア、オーストラリアの仲間たちから、船員の権利保護や内航海運の安全確保のお手本と見なされている。カボタージュは自国船員の雇用維持のみならず、自国経済の成長の大きな要因だ」

 ITF船員部会議長を務める北米SIUのデーブ・ヘンデル財務部長も米国海運産業の経済的利益を強調した。

 「カボタージュ規制は、米国内の造船所における4万隻の米国籍船の建造、約65万人のアメリカ人の雇用、410億ドルの所得を生み出した。年間1,500億ドルの経済生産にも貢献している」

 「米国の厳しいカボタージュ規制の恩恵は、経済安全保障や国家保安の面に限らない。ジョーンズ法は、戦時、緊急時、平時の国境警備にも役立つ」

 また、カボタージュ規制が自国船員の雇用確保だけでなく、国際海運自由化や便宜置籍船(FOC)制度による外国人船員の搾取を防ぐ役割をも果たしていることを強調した。

 「船主はできるだけ多くの金を稼ぎたいと思っている。乗組員を安く使えるなら、そうするだろう。ノルウェー船主の多くが船籍をFOCに変えた。この問題はますます深刻になっている」とノルウェー船員組合のジョニー・ハンセン委員長は述べた。

 ITFのジャクリーン・スミス海事コーディネーターも、FOCで得をするのは船主だけだと主張した。一方、内航船社が高い料金を設定したら、そのコストは消費者に転嫁されるという単純な理屈で反論する者もいた。

 これに対してギブンは、「我々が注目すべき真のコストとは何か?船社のコストか?国家のコストか?政治家として、地域のリーダーとして、収益よりも国民の利益が重要ではないのか?問題はそこにある」と述べ、モリソン政権に対して、地域の雇用、安全保障、エネルギー保障、環境保護の観点から法律を検討するよう要請した。

 代表団は、今週初めにシドニーで開催されたITFカボタージュ対策委員会で確認された要請事項-オーストラリア人が乗り組むフリートの戦略的構築および内航海運活性化の第一歩として、砕氷船「オーロラ・オーストラリス」を直ちに購入し、災害対策を強化すること-を公聴会で要請した。

 上院公聴会に出席した組合代表者

  • ディアドリ・フィッツパトリック(船員の権利インターナショナル(SRI)エグゼクティブ・ディレクター)
  • デーブ・ヘンデル(北米国際船員組合財務部長)
  • ジム・ギブン(カナダ船員国際組合委員長)
  • ジョニー・ハンセン(ノルウェー船員組合委員長)
  • ジョー・フリートウッド(ニュージーランド海事組合委員長)
  • ジャクリーン・スミス氏ITF海事コーディネーター)


 問合せ:Luke Menzies +61 433 889 844

 

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